議会質問

本市の留学生支援についての質問

2020年12月15日

私たちが生活する中で、外国籍の方と接する機会は、近年、格段に増えてきたと思います。数多くの外国人の方が様々な理由により本市にて生活をしています。
 まず、本市在住の外国籍の20年前と現在の数を教えてください。また、どのような在留許可で在住をされていますでしょうか。

議会質問

津田
信太郎

議会質問

総務企画局長

福岡市の在住外国人数につきましては、いずれも3月末日現在で平成12年は1万4,605人、令和2年は3万9,312人でございます。主な在留資格は、留学、永住者、技術・人文知識・国際業務などでございます。

答弁にもありましたように、多くの外国人の方が本市にて生活しているのがよく分かりました。
 それでは、今回の質問では、特に大学、短期大学に在籍している外国人留学生について質問をしていきたいと思います。
 福岡市内の大学、短期大学の留学生数について、20年前と現在の数を教えてください。

議会質問

津田
信太郎

議会質問

総務企画局長

福岡市内の大学及び短期大学に在籍する留学生数につきましては、福岡県内の大学、地方公共団体、経済団体及び国際交流関係団体などで構成される福岡地域留学生交流推進協議会の調査によりますと、いずれも5月1日現在で、平成12年は1,665人、令和2年は3,644人でございます。

留学生の出身国の上位5か国までを教えてください。また、本市には留学生が在籍している大学、短期大学はどのくらいありますか。

議会質問

津田
信太郎

議会質問

総務企画局長

同じく福岡地域留学生交流推進協議会の調査によりますと、令和2年5月1日現在で、多い順に中国、ベトナム、韓国、インドネシア、ネパールでございます。また、令和2年5月1日現在、市内にある17の大学及び短期大学において留学生が在籍しております。

これまでの答弁によりますと、留学生数は増加傾向にあるかと思いますが、留学生が本市市内の大学等を留学先に選んだ理由をどのように考えておられますか。

議会質問

津田
信太郎

議会質問

総務企画局長

留学生が福岡市内の大学を留学先に選んだ理由につきましては、平成29年度福岡都市圏における留学生実態調査によりますと、留学先に福岡を選んだ理由として、留学したい大学があった、福岡が生活しやすそうだった、福岡に留学経験がある友人、知人に勧められたなどが挙げられております。

ここで私の経験を基に質問をしていきたいと思います。
 私は20年前になりますが、アメリカ合衆国バージニア州のある大学に留学をしました。大学への入学準備期間として半年間、外国人用の語学学校に通いました。そのときは在福岡アメリカ領事館の首席領事だった方のお宅にホームステイをさせていただき、進学する大学の選定やアパートを探しながら準備をいたしました。当時はネット環境やSNSもあまり普及しておらず、情報は自ら足を運び、収集をしていました。また、当時は首席領事の家族がいろいろサポートしてくれたおかげで進学先や住居を決めることができましたが、生活習慣、文化、気候、宗教など違う国での生活は大きなストレスであり、乗り越えなくてはいけない課題でもありました。また、生活する上での自らの健康、安全面の確保などは誰も気にしてくれず、自分の身は自分で守らなくてはいけません。海外で生活をしながら勉学に励まなくてはいけない留学生の苦悩は計り知れないものがあります。私も現地の大学生と一緒に受ける授業は聞き取るのも精いっぱいで、授業を受けるための予習、復習に費やす時間など、今までの人生の中で一番勉強したのではないかと思います。しかしながら、それまで実家暮らしで何不自由なく暮らしていた私でありますが、大学内でアルバイトをしながら勉強し、様々な国から集まる留学生との交流や現地で過ごした3年間という時間は私にとりまして宝であります。私だけでなく、留学生にとって、その地で過ごした時間や人との出会いはかけがえのないものであり、留学先は第2のふるさととなります。
 私は留学を考えている人に会いますと、必ずチャレンジをすることを勧めるようにしています。勉学だけではなく、その国の考え方、文化、宗教を知ることができ、日本国内では得ることのできない人脈、ネットワークが広がり、自身の人としての視野が広がると思います。私はまちなかで留学生たちを見かけると、何か応援してあげたい気持ちになります。家族、友人がいるふるさとから離れ、言葉、文化が違う土地で生活する大変さを知っているからです。また、どのような理由であれ、留学先に福岡市を選び、ここで生活をしてくれていることがただ単にうれしく思います。そして、間違いなくこの人たちは福岡市と母国をつなぐかけ橋となり得る人材であるということであります。ぜひ皆さんもそのような気持ちで留学生に接してほしいと思います。
 かけ橋となり得る人材といえば、福岡市も長年にわたり支援をされていますアジア太平洋こども会議・イン福岡について質問をしていきたいと思います。
 本事業の経緯、概要を教えてください。

議会質問

津田
信太郎

議会質問

こども未来局長

アジア太平洋こども会議・イン福岡につきましては、アジア・太平洋地域の子どもたちと福岡の子どもたちが相互理解を深め、国際感覚あふれる青少年へと成長することなどを目的として、平成元年にアジア太平洋博覧会への参加事業として始まったものでございます。主な事業といたしましては、海外の11歳の子どもたちをこども大使として福岡に招聘する事業と小学校4年生から高校3年生までの福岡の子どもたちを海外へ派遣する事業があり、これまでに世界55か国及び地域から9,609人を招聘するとともに、40か国及び地域に3,290人を派遣いたしております。

招聘事業及び派遣事業ではどのようなことを行っていますか。

議会質問

津田
信太郎

議会質問

こども未来局長

招聘事業につきましては、同世代の子どもがいる家庭等へのホームステイ、学校訪問や合宿型の国際交流プログラム、国や地域ごとに歌や踊りを披露するパフォーマンスイベントなど、福岡の子どもたちとの交流により海外の子どもたちが日本の生活や文化を体験いたしております。派遣事業については、ホームステイや学校訪問、イベントなど、現地の子どもたちとの交流により福岡の子どもたちが海外の異文化を体験いたしております。

本事業によりどのような効果があったと考えていますか。

議会質問

津田
信太郎

議会質問

こども未来局長

事業による効果につきましては、子どもたちが世界の多様な価値観に触れることで、豊かな国際感覚が育まれるとともに、市民の国際理解の促進やホスピタリティの向上にもつながっているものと考えております。

この事業に参加した子どもたちのその後は、例えば、どのような進路を進まれているのでしょうか。高校や大学などへの本格的な留学につながっているのでしょうか。

議会質問

津田
信太郎

議会質問

こども未来局長

海外からの招聘事業への参加者につきましては、後に日本の大学に留学した方や福岡市で就職した方、自国で日本大使館職員となった方などもいらっしゃると伺っております。また、福岡の派遣事業への参加者につきましても、海外の学校に留学、進学した方や海外企業に就職した方、国際機関で働いている方などがおられると伺っております。

いろんな就職先、進路が開けているというふうに御答弁にありましたので、すごく意義がある事業だと思います。
 今まで海外視察などで訪れたイポー市、オークランド市、ボルドー市などでの表敬訪問の際に、こども会議事業に対する感謝の言葉をたくさいただきました。姉妹都市交流の中でも、お互いの市民にとって交流事業として目に見えて分かりやすく、とても有意義な事業であると言われていました。また、要望でございますが、どちらの都市でもこども会議事業に参加できる子どもたちの年齢層を少し上げたほうがさらによいのではないかという意見がございました。小学校5年生くらいの子どもたちにとっても、すばらしい経験や思い出になるのは間違いないのでありますが、中学生、高校生の年齢層はより将来のことを考えることができ、異国での国民性や生活、文化などの違いを実際に感じることができれば、将来の選択肢や視野が広がるのかと思います。ぜひとも検討していただきたいというふうに思います。
 また、ホームステイ先の家族は、帰国後も本当のファミリーとしての関係につながったり、交流した友人などは生涯の友となります。事業で招聘される子どもたちにとって福岡市は第2のふるさとにもなり、派遣される子どもたちは派遣先が第2のふるさとになります。この事業は派遣される側、そしてそれを受ける側、双方に大きな効果があるすばらしい取組だと思います。
 これからもかけ橋となり得る人材育成に力を入れていただきたいと思いますが、今後どのように支援をしていかれるのか、お考えを教えてください。

議会質問

津田
信太郎

議会質問

こども未来局長

この事業において、過去にこども大使として来福した16歳以上の若者をピース大使として再度招聘し、リーダー研修やネットワークづくりを行っているほか、日本を含むアジア・太平洋の41の国と地域では、過去の事業参加者を中心とした同窓会組織、ブリッジクラブが設立されており、国際的な視野を兼ね備えた明日のリーダーを育てることを目的に、様々な社会貢献活動が行われております。このブリッジクラブにつきましては、国際組織も設立され、代表者によるミーティングが開催されるなど、アジア・太平洋地域にネットワークが広がっております。今後とも、この事業で培われたネットワークを通じ、福岡と、世界の国と地域とのかけ橋となるグローバル人材の育成に取り組むアジア太平洋こども会議・イン福岡をしっかりと支援してまいります。

この事業ですばらしい経験をした子どもたちの進路、そして、将来がとても気になります。ぜひOB、OGの定期的な集まりやイベントを含め、本事業の検証にもつながるようなフォローをしていただきたいと思います。コロナ禍でなかなか交流ができないと思いますが、しっかり頑張ってほしいと思います。
 次に、本年2月に海外視察で訪れたオーストラリアのメルボルン市にて先進的に取り組まれています留学生支援について御紹介をしたいと思います。私たちが視察をしましたメルボルンランゲージセンターですが、1988年に設立され、留学生対象の大学入学前の進学準備コースや、社労士、福祉士などの資格取得コースはワーキングホリデー、そして、外国人在留者向けであり、また、外国人の子どもが通える学校などのコースもあり、海外で生活していく上で必要な語学力をはじめ、マナーや文化など知識も学べる施設となっておりました。
 私たちの視察に対応していただきました日本人職員の田中さんのお話では、メルボルン市があるビクトリア州は留学生の受入れに大変力を入れており、留学産業は貿易でいう輸出と捉え、外貨獲得のための大切な政策の一つとして取り組まれているということでありました。そのビクトリア州は毎年170か国より約20万人もの留学生などを受け入れ、州の経済を支えている大きな産業であるということでありました。州は大学、短大、専門学校などの教育施設を充実させるとともに、様々な学部、学科も増やしながら留学生の選択肢を増やす努力もされています。学生寮やシェアハウスなどの住居の整備、交通網の拡充などは無論、留学生にとっての安全面の確保である治安や医療などのサービスにも特に力を入れているそうです。
 また、同じく視察をしましたスタディメルボルンという施設も御紹介したいと思います。この施設はビクトリア州とメルボルン市が共同運営をしている留学生支援のための施設で、業務委託をされているスタッフが留学生による様々な相談に対してカウンセリングをしてくれます。住居、医療、ビザ、保険などの生活支援や定期的なニュースレターによる情報提供、イベント、セミナーなどのお知らせや、施設内には無償で借りることのできるイベントスペースや会議室、学習室があり、Wi-Fiの完備など、留学生にとってオアシスとなっていました。留学生が生活面で直面する様々な苦悩や問題を少しでも解決をし、快適な留学期間を過ごしてもらいたいという思いで運営をしていると、そういう言葉が心に残りました。
 御紹介したメルボルンの2つの施設は、州や市が留学生支援を有益と考え、留学生を受け入れる環境づくり、安全性の確保、住民の意識醸成に力を入れ、母国とのかけ橋となり得る人材になるだけではなく、定着をさせ、就職や創業をすることにより経済の一端を担う市民になってもらうための投資であるというふうに感じました。
 そこでお尋ねをいたしますが、本市には視察先と同様な団体として福岡よかトピア国際交流財団がありますが、事業概要を教えてください。

議会質問

津田
信太郎

議会質問

総務企画局長

福岡よかトピア国際交流財団の事業概要につきましては、アジア太平洋博覧会-福岡’89を記念する事業として福岡アジア文化賞の共催、市民の国際交流を促進する事業として国際交流活動の助成、在住外国人及び外国人学生を支援する事業としてワンストップ型の総合相談や地域との交流事業、グローバル人材を育成する事業として留学生及び日本人大学生への奨学金などの事業を実施しております。

それらの財団の事業と本市との関係性を教えてください。

議会質問

津田
信太郎

議会質問

総務企画局長

財団の事業と本市との関係につきましては、福岡市は、アジアをはじめ世界の人にも暮らしやすいまちづくり及びグローバル人材の育成と活躍の場づくりなどの国際施策の策定や施策に基づく事業の企画調整、他の行政機関との連携などを担っており、一方、福岡よかトピア国際交流財団は、福岡市の国際施策を実施する機関の一つとして、これまで培った外国人対応のノウハウや民間とのネットワークを生かした在住外国人の支援や地域の国際交流の促進に関する事業の実施などを担っております。

それでは、財団は具体的にどのような留学生支援を行っているのか、教えてください。

議会質問

津田
信太郎

議会質問

総務企画局長

財団が行う留学生の支援といたしましては、福岡での就職、創業を志す留学生向けの奨学金給付や、福岡で就職を希望する留学生とグローバル人材としての留学生に関心を持つ地場企業との交流を行う留学生と企業との交流サロン、日本の家庭に滞在、訪問するホームステイ・ホームビジット、留学生向け宿舎として福岡市国際会館の居室の提供などを行っております。

財団では留学生支援の幅広い取組をされているようでありますが、本市国際交流の拠点として、そして、留学生のオアシスとなるよう、今後も広報を含め、しっかり取り組んでいただきたいと考えます。
 また、本市の姉妹都市でもありますニュージーランドのオークランド市を視察した際に訪れましたスタートアップ支援施設では、外国人起業家の支援や外国企業の誘致に積極的に取り組んでいるとの説明を受けました。実際にその施設の周辺にはアマゾンやグーグルなどの企業を誘致し、地元企業やスタートアップ企業、起業家とのマッチングにより新たなるビジネスが生まれていました。
 そこで、スタートアップ支援事業と留学生の関係について少しお聞きしたいと思います。
 本市は国家戦略特区に選定され、特に創業面では様々な支援を起業家に行っています。これは国内外の新たなビジネスをスタートしようとしている人たちに、福岡市は起業しやすく、様々な優遇措置を受けられることを知らしめています。
 特に本市では海外11か国、地域における15のスタートアップ拠点施設とMOUを締結し、相互の進出支援を行うとともに、外国人の創業活動を促進するため、スタートアップビザの受付を平成27年12月に開始していますが、これまでにこのスタートアップビザを活用し、本市にて起業された外国人は何人で、企業数は何社ありますか。

議会質問

津田
信太郎

議会質問

経済観光文化局長

れまでにスタートアップビザを活用し、福岡市で起業した外国人につきましては、令和2年10月末時点で50人でございます。また、その企業数につきましては、複数名で1社を立ち上げた事例もあることから、43社となっております。

そのうち本市に留学経験のある起業家はいらっしゃいますでしょうか。

議会質問

津田
信太郎

議会質問

経済観光文化局長

スタートアップビザを活用し福岡市で起業した外国人のうち、福岡市に留学経験がある起業家につきましては、令和2年10月末時点で4人でございます。

私の知り合いで、台湾からの留学生がいます。彼とは私が参加する山笠で知り合いました。台湾留学生会の会長も務めていた彼は、留学期間の4年間、仲間と一緒に毎年山笠に参加をし、共に汗をかき、同じ釜の飯を食った仲間であります。彼は大学で経済学を学び、山笠などを通じ福岡市が好きになり、卒業後も福岡市とのつながりを持ちたいという思いで、福岡市を拠点にし、起業をしました。現在は台湾との貿易などの仕事をしています。彼は卒業後に帰国し、台湾で起業するのではなく、第2のふるさとの福岡市で会社を立ち上げた彼の選択は私は本当にうれしかったです。
 このように留学から定着につながる可能性が大いにあると考えており、本市に留学している人が起業しやすい取組、要するにスタートアップ事業と留学生との結びつけはとても重要ではないかと思いますが、御所見をお尋ねいたします。

議会質問

津田
信太郎

議会質問

経済観光文化局長

福岡市に留学している方が起業して定着することにつきましては、福岡市経済の成長とグローバル化のためにも重要な要素であり、そのためにも留学生が起業しやすい取組は必要であると考えております。そのため、留学生が在学中でも起業活動を行うことができるよう、スタートアップビザにおける要件緩和を福岡市の提案によって実現するなど、留学生のチャレンジを後押しする環境の構築に努めているところでございます。また、留学生が会社を立ち上げる際には、スタートアップカフェ内に開設しているグローバルスタートアップセンターや開業ワンストップセンターにおいて支援するとともに、その後のビジネスサポートをFukuoka Growth Nextにおいて実施するなど、定着のために必要な支援を行ってまいります。

しっかりよろしくお願いいたします。
 今まで私の経験や、また、視察先で学んだことを含め、いろいろと質問をしてまいりましたが、私たちが愛してやまない福岡市は、大都市にもかかわらず、海、山などの自然も豊かで、山笠やどんたくなど、世界に誇れるお祭りやイベントがたくさんあり、そして、どこにも負けない食文化、温かい人情あふれるまちであります。
 最後に、日本人にとって福岡市が住みやすい都市として常に上位に選ばれているのと同様に、留学生が大学や学部を理由に福岡市を選択するだけでなく、福岡市が留学生にとって世界一フレンドリーな都市として選択してもらえること、そして、私たち福岡市民が留学生に対して世界一フレンドリーな住民として選んでもらえるように、さらに取り組んでいただきたいと思いますが、今後の方針やお考えを高島市長に聞いて、私の質問を終わります。

議会質問

津田
信太郎

議会質問

市長

福岡市は他都市に先駆けてアジアに開かれたまちづくりを進め、福岡市総合計画では活力と存在感に満ちたアジアの拠点都市を目指す都市像と定め、その実現に向けて様々な事業を推進してまいりました。高度人材の卵であります留学生は、将来、その専門性や多様性を生かして日本と世界とを結び、新たな価値を創造する活躍が期待されておりまして、福岡市が国際競争力を強化し、日本を牽引していく都市としてさらに成長していく上で、大きな役割を果たすものと考えています。
 今後も福岡市が留学生をはじめとした世界の人々にとって住みたい都市として選ばれるよう、住みやすく活動しやすい環境づくりや市民との交流を深める取組をしっかりと進めてまいります。

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津田信太郎 市政相談所

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