議会質問

博多港の港湾機能の強化についての質問

2011年12月16日

博多港が日本海側拠点港に選定されたことについては大変喜ばしいことであります。これも高島市長みずから先頭に立ってプレゼンテーションを行うなど、努力のたまものであり、まずはお祝いを述べたいと思います。
しかしながら、私は博多港は日本の拠点港を目指すべきであると考えております。日本海側拠点港への選定につきましては、単なる通過点にすぎないと考えております。日本における博多港の役割はもっと大きなものであると確信いたしております。博多港は九州・西日本地域の輸出産業の貿易窓口として経済活動や地元の雇用を支え、そして生活を支える重要な役割を担っているだけではなく、成長著しいアジアとの近接性を生かしてアジア戦略や技術立国の実現といった、国の成長戦略を支える港として、また、災害時において、太平洋側港湾の代替機能を発揮できる災害に強い港としての役割を担うべきであり、また、そのポテンシャルを十分に持っている港だと考えております。
このためには、日本海側拠点港の選定をジャンプ台として、日本海側拠点港において提案されました施策等について、スピード感を持って具体的な取り組みを進めることが肝要であり、そして、その最も重要で、イの一番に取り組まなければならない大きな命題が、アイランドシティにおけるDコンテナターミナルの整備であると考えます。
私は、9月議会において、アジアからの人の流れを取り込み、福岡市において観光、おもてなしの都市づくりを進めるべきだと質問させていただきましたが、今回は博多港の港湾機能の充実、強化に向けて、アイランドシティDコンテナターミナルの整備について御質問をいたします。
博多港を取り巻く経済情勢は大きく変化をいたしております。世界経済を見てみますと、将来への不確実性が増しているように感じますが、中国を中心としたアジアの経済成長はいまだに続いており、今後、間違いなくアジアが世界の経済を牽引していくことと考えております。
平成23年9月にIMF、国際通貨基金が発表した各国のGDPの将来予測を見てみますと、中国については2015年までに毎年9.5%の成長をするものと予測されており、韓国におきましては4%前後、ASEAN諸国においても平均で5%強と、アジアの地域は将来、高い経済成長率が維持されると予測されております。このことは、アジアとの輸出入の割合が全体の7割を占め、日本の港においてもアジアとの関係がとても深い博多港にとって、将来の成長を十分に予感させるものであります。
また、東日本大震災以降の全国の主要港におけるコンテナ取扱量の動向を見てみますと、1月から7月における博多港の伸びは、京浜港、名古屋港、阪神港といった日本の主要港と比較いたしましても最も伸びており、今後、物流の中心が東から西へと、そして太平洋側から日本海側へとシフトしていくことを示唆し、博多港が日本の拠点港となることを予感させるものであると思います。
事実、リーマンショックを経て世界経済が回復基調にある中、博多港のコンテナ取扱量は昨年と比べて大幅に増加し、80万TEUを優に超え、過去最高を大幅に更新する勢いにあると聞いており、実際、コンテナターミナルは満杯の状況を呈しております。24時間荷役可能な体制を整えるために多大な努力を払われている関係者の方々からは、速やかな対応が求められているところでございます。
主要な輸出入の相手国であるアジア経済が今後とも拡大していくことから、博多港のコンテナ取扱量は将来確実に増加する状況にある一方で、現在のコンテナターミナルは満杯に近い状況であることから、すぐにでもDコンテナターミナルの整備に取り組まなければ、コンテナターミナルの機能は麻痺をし、関係者の方々に多大な迷惑をかけるだけでなく、博多港の利用が減少し、コンテナ航路の抜港にもつながるものであり、ひいては背後圏の産業や雇用の減など市民生活に直接大きな不利益をもたらす結果ともなり、それは福岡経済へのマイナス効果にもつながり、絶対に避けなければならないと思っております。博多港のコンテナ取扱量が目標でありました100万TEUを達成する日は、もう間近に近づいておると考えるべきであります。
また、博多港には、日本では唯一寄港しておりますアジアとヨーロッパをつなぐ欧州航路があり、そこでは世界第1位の船会社による14万トン級、そして全長370メートルの世界最大級の超大型コンテナ船が就航しておりまして、利用者が持つ博多港への期待は相当高いものと考えられますが、利用船舶の規模に対し今の博多港の港湾施設の整備が追いついていないのが現状でございます。
先日、総務省より全国の県庁所在地と政令市、全51市による消費者物価地域差指数が発表されましたが、この福岡市はその中で4番目に物価が安い都市でありました。このことは、博多港に大型コンテナ船が多く寄港し、輸送の効率化が図られることにより、海外からの物資が安定的に、そして安価に輸入されることであり、福岡は他県に比べますと国内外から港を通し、いろんな物が流通し、それを消費者が安く購入できるということでございます。
全世界をめぐる大型コンテナ船の寄港は、背後産業の国際競争力の強化に資するのみでなく、市民生活を豊かにするものであります。そして、欧州航路には、さらに輸送の効率化を求めて大型コンテナ船が相次いで投入される計画もあり、博多港は基幹航路を持つ港として、これに対し港湾整備を進めていく責務があると考えます。
これまで博多港におけるコンテナターミナルの整備については、アイランドシティC1コンテナターミナルにおいても、C2コンテナターミナルにおきましても需要に後追いする形で整備がなされております。C2コンテナターミナルは約2年間の短期間で岸壁整備がされましたが、国予算確保の取り組みには相当の期間を要したと聞いております。コンテナ取扱量の急増とコンテナ船の大型化の進展に対応するためには備えは絶対であり、Dコンテナターミナルの整備につきましては、需要を先取りした形で整備ができるよう、C2コンテナターミナル以上のスピード感を持って積極的な取り組みを進めるべきであります。
そこで、まずは前提となる博多港におけるコンテナ取扱量の現状と増加の理由、そしてその将来の見通しについて答弁を求めます。

議会質問

津田
信太郎

議会質問

港湾局長

博多港の国際海上コンテナ貨物取扱量の現状についてでありますが、平成23年におきましては、1月から10月までの間の概況速報値で、前年と比べまして約15%増と急増いたしており、平成23年のコンテナ貨物取扱量は昨年に比べて10万TEUほど伸びるものと予想いたしております。最終的には過去最大の85万TEU程度に達するものと見込んでおります。
増加の主な要因として、輸出に関しましてはタイヤや自動車関連部品などが増加していること、また、輸入では家具、衣料関係などが増加していることによるものでございます。
それから、将来の見通しにつきましてでございますが、博多港の主要な輸出入の相手国である中国や東南アジアなどの経済成長が今後とも続くものと予想されていることや、博多港の背後圏における自動車関連産業や太陽電池関連産業の生産拡大が見込まれることなどから、博多港のコンテナ取扱量は今後とも増加するものと考えております。以上でございます。

博多港のコンテナ取扱量が今後伸びていくことは当然予測されるものであり、また、伸びていくことを前提として時期を失することなく万全な備えをすることが最も大切であると思います。
そこでまず、コンテナ取扱量が急増する中、市としては当然、Dコンテナターミナルの整備について検討しているものと考えますが、現在の検討状況についてお尋ねいたします。
次に、コンテナターミナルの拡充のみならず、その質的向上について伺います。
国においては、環太平洋パートナーシップ、TPPへの参加に向けた検討が進められておりますが、その賛否についてはさまざまな意見があります。しかしながら、グローバル化が進む中、世界との適切な関係を構築していくことは不可欠であり、将来、アジア、世界において障壁のない経済圏が形成されていくことは十分に予測すべきことであると思います。
このような中、博多港の背後には全国シェア約12%を誇り、年間生産台数150万台を目指す自動車関連産業が集積しており、また、次世代を担い約15%の全国シェアを持つ太陽電池パネル産業などの多様な高付加価値型の輸出産業が立地いたしております。そして、博多港はこれらの製品をアジア、世界へと輸出する重要な役割を担っております。
今後、TPPで議論が進み、輸出産業における関税の撤廃等が将来実現していくこととなれば、背後圏に多くの輸出産業を抱える博多港の果たすべき役割はさらに高まっていくものと考えます。このためには、博多港における需要に対応した港湾整備だけではなく、利用者の視点に立って物流の効率化を図るなど、港湾機能そのものの質的向上を図ることも重要となります。
博多港においては、国際RORO船をアイランドシティから箱崎ふ頭へとシフトし、環境負荷の低減や物流の効率化を進める国際・国内ROROターミナルを整備し、東アジアに近い地理的優位性を最大限に生かした港湾機能の質的向上を図るための取り組みが進められております。このことは、日中間におけるスピーディーな物流を先取りする博多港のポテンシャルを生かした画期的な取り組みであると考えます。
また、アイランドシティコンテナターミナルにおいては、荷役機器の完全自動化による国内初のエココンテナターミナルの整備を行い、大胆なCO2の削減や物流の効率化に取り組んでおります。このことにより約600ヘクタール、ヤフードームが86個も入る広さの面積の森林が1年間に吸収する量に相当する年間約2,100トンのCO2の排出が削減される見込みでございます。また、港湾運営の効率化等にも貢献していると聞いております。
各企業は環境負荷の低減を強く意識し、物流の効率化に積極的に取り組んでおり、博多港はそのニーズに適切に対応して、利用者の視点に立った質の高い港湾整備やシステムの構築などに、さらに引き続き取り組んでいく必要があると考えます。
そこで、博多港において、物流の効率化や環境負荷の低減等の観点から、これまでにどのような取り組みを進めてこられたのか、また、コンテナターミナルにおいて、今後どのような取り組みを考えているのか、お尋ねいたします。

議会質問

津田
信太郎

議会質問

港湾局長

Dコンテナターミナルの検討状況についてでありますが、コンテナ貨物取扱量の急増からアイランドシティ及び香椎パークポートのコンテナターミナルは既に満杯に近い状況にあります。このような状況を踏まえまして、現在、Dコンテナターミナルの整備に関しまして国との協議を進めているところであります。コンテナ貨物取扱量の急増に適切に対応するため、早期整備を目指しまして、国において平成25年度の予算要求を行っていただけるよう取り組んでまいる所存であります。
次に、博多港における物流効率化などの取り組みについてでありますが、これまで博多港におきましては、行政のみならず民間事業者の方々と一体となりまして、全国に先駆けてさまざまな取り組みを進めてきたところであります。具体的には、戦略的で効率的な港湾運営の実現を図る観点から、民間事業者が直接コンテナターミナルの運営を行う制度を導入するとともに、物流の円滑化を図るための最新の情報システムの導入など、国内では初めての取り組みを進めてきたところであります。また、先ほど津田議員より御紹介いただきましたエココンテナターミナルやROROターミナルの整備など、時代の要請である環境負荷の低減にも積極的に取り組んでいるところであります。
Dコンテナターミナルの整備に当たりましては、C1、C2コンテナターミナルと一体となった効率的な港湾運営を実現し、さらなる物流の効率化を図るとともに、引き続き荷役機器の電動化による環境負荷の低減に取り組むなど、必要な港湾施設の整備とあわせまして、利用者の視点に立った港湾機能の向上を図ってまいりたいと考えております。以上でございます。

アジアの活力を取り込むことができる地理的優位性や、特に世界最大級のコンテナ船が定期的に寄港している状況からも、今後、博多港が果たす役割はますます大きくなっていくものと考えられ、これらを見据えながらコンテナターミナルのさらなる機能強化を図るべきだと考えます。
アイランドシティにおける水深15メートルのDコンテナターミナルの整備につきましては、現在、国との協議を進めているとのことですが、アジアからの物流の拡大をしっかりと受けとめ、高島市長が目指すところのアジアのリーダー都市づくりを進めるためには、Dコンテナターミナルの整備は不可欠であります。
博多港を日本の拠点港にしていくという目標を掲げ、その第1弾としてDコンテナターミナルの整備をスピード感を持って取り組んでいく必要があると考えますが、高島市長の所見をお尋ねして、私の質問を終わります。

議会質問

津田
信太郎

議会質問

市長

博多港でございますが、アイランドシティに世界最大級のコンテナ船が日本で唯一寄港していますとともに、来年には中央ふ頭にアジア最大級のクルーズ船、ボイジャー・オブ・ザ・シーズが15回寄港するということなど、まさに物流、人流両面においてアジアの活力を取り込みながら着実に発展をしてきているというふうに考えております。
加えて、国際RORO船を活用したアジアとの物流ネットワークづくりにも着手いたしますし、アジアに近い地理的な優位性を最大限に生かした、博多港だからこそ実現可能な取り組みを進めておりまして、国においてもこうした博多港のポテンシャルとか戦略性というものを評価していただいた上で、せんだっての日本海側拠点港トップ当選ということで、総合的な拠点港という位置づけになったわけですが、こういったことに至ったというふうに考えています。
現在、博多港の国際海上コンテナ貨物の取扱量はアジアを中心とした国際物流の拡大に伴って急増しておりまして、このチャンスを逃すことなく、必要な施策をスピード感を持って展開していくことが重要だというふうに考えています。そうした中で、コンテナ船の大型化とか、それからコンテナ貨物取扱量の急増の受け皿として、アイランドシティDコンテナターミナルの整備は不可欠だというふうに考えています。Dコンテナターミナルの整備に向けては、国の最大限の理解と協力が必須でございまして、私もこれは先頭に立って国と一体となって進めていきたいというふうに考えています。以上です。

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津田信太郎 市政相談所

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